女流画家協会 女性画家の歴史ある登竜門として

2015/5/8
第68回女流画家協会展の会場の様子。委員、会員、一般応募者とで600点を越える展示となった
戦後間もない昭和20年に、女流画家の地位向上と新人の登竜門を旗印に結成された女流画家協会。70年近くにわたって新しい才能を発掘し続ける公募団体はどのように運営されているのか。事務局に取材した。
会派を越えて
女流画家協会の大きな特色には他の公募団体に所属して活躍している作家たちの参加が多いことがある。女流画家協会にだけ属している作家も含めて、さまざまな場所で活動する女性たちが年に一度作品を持ち寄り集う場所として、公募団体のなかでも特異な位置づけにあるといえるだろう。
現在、約200人ほどの作家が委員や会員として参加している。他の公募団体に比べて、運営はとてもシンプルだ。まず、会員になるには、賞を2回とればいい。誰かの推挙も必要ない。そのため、初めて出品してから3年目には会員ということも十分にある。事務局の成員も、2年ごとに入れ替わる。何かの方針を決めるには、特定の個人ではなく、委員会が主体となって合議する。会費も安いという。さまざまな作家が会派を越えて集まり、派閥などに惑わされることなく真摯に切磋琢磨する貴重な場所なのだ。
設立当時を知る女流画家協会の作家たち
入江一子[いりえ・かずこ]
1916年生まれる。
1938年林武に師事。女子美術専門学校卒業。
第2回展から女流画家協会参加。
1969年以降、東南アジア、ヨーロッパ、シルクロード写生旅行。
1996年「色彩自由/シルクロードを描きつづけて」出版記念展
「女流画家協会が設立された当時の女性たちは、皆さん命がけで絵を描いていました。今は1時間描いて疲れたら1時間眠る、その繰り返し。最近やっと絵画の奥義がわかったので、制作のアイデアが次々に浮かぶの。
女流画家の皆さんに、世界にはばたく作品を期待します」
ポートレート撮影:秋山庄太郎 © 秋山庄太郎写真芸術館
入江一子 《イエメン うちわ サボテン》 100F 2012年 66回展出品
糸田玲子[いとだ・れいこ]
1924年生まれる。
猪熊弦一郎に師事(田園調布純粋美術研究室)。
2014年糸田芳雄・糸田玲子回顧展。
個展「—昔そして今—」(ギャラリーオカベ)ほか、個展多数。
現在、朝日カルチャーセンター千葉講師。
「いつも自分に正直に、失敗をこわがらず、勇気をもって、思いついたことをためらわずに描いてゆきたい」
糸田玲子 《ゆらぐ》2013年 67回展出品
吉江麗子[よしえ・れいこ]
1925年生まれる。
女子美術専門学校卒、武蔵野美術学校研究科修了
第2回展から女流画家協会参加。
3年に一度ほど個展開催。
元女子美術大学洋画科非常勤講師。
「私の心はいつも敗戦時の20歳。
昭和の初め、父に誘われて東京駅前の丸ビルの屋上へ。ドイツの飛行船が来るという。じっと空を見上げているとゆっくりゆっくり動いてきたもの、大きな船のような形、それがツェッペリン伯号だった。今もまだ宙へのあこがれが深く、あれが私の仕事の原点だったかもしれない」
吉江麗子 《花たちの遊覧飛行》 153×169×20 2012年 66回展出品
岡田菊恵[おかだ・きくえ]
1929年生まれる。
東京美術学校、女性入学第一期生。油絵科安井教室で学ぶ。
紀伊國屋画廊企画展他、個展多数。
2010年渋谷区立松濤美術館で回顧展「岡田菊恵画業60年のあゆみ」。
「日本的な油彩表現が最近多くなってきていて不安です。油絵具とキャンバスを使えば油絵ですが、描く前の内容である空間把握がないがしろにされています。いつのまにか根本のところが不在となり、悲しく思います」
岡田菊恵 《がれきの中で遊ぶ子ら》 100F 2012年 66回展出品
毎回清新な会場
さまざまな団体に属している作家が集まるため、女流画家協会として絵の傾向を掴むことは難しい。むしろ、多様な画風の作品が一堂に会するときに生まれる渾然一体となったエネルギーこそが、この団体の特徴だろう。
会場では自分の絵が、まったく異なるタイプの絵と隣りあって並ぶこともあり、作品の見え方の違いに気付くことも多いという。また、優秀な作品は委員と同じ部屋にするなど、新人にも分け隔てなく接し、団体の運営にも積極的に意見を出してもらうようにしていることも展示の大きな特色だろう。
女性のみが参加することで、会員同士には親密な空気があり、交流も多い。女流画家協会に参加することは常に自身に清新な空気を送り込む経験となるはずだ。
第68回女流画家協会展受賞者作品
(左)遠藤茂子 《wall 2013》 絵画 桜井浜江賞
(右)當間菜奈子 《丘の上、E -1》 損保ジャパン美術財団賞
(左)渡辺記世 《kehai-DARUMA-014》 絵画 上野の森美術館賞
(右)佐藤みちる 《光の彼方》 絵画 大住閑子賞
伊藤麗子 《遠い日》 絵画 大村文子賞
(取材・構成=竹見洋一郎)
公募情報
女流画家協会
第69回 女流画家協会展
:2015年6月29日(月)~7月5日(日)
:東京都美術館(東京都上野公園内)
搬入日時:6月21日(日)
:洋画、日本画、水彩、版画
出品資格:15歳以上の女性
:3点まで15,000円(総号数300号以内)

第69回展のチラシ
団体問合せ
女流画家協会事務所
神奈川県横須賀市馬堀海岸2-17-4 堀岡方
, 046-844-0310
http://www.joryugakakyokai.com/

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