汎美術協会 自由な表現のために。もっとも研ぎ澄まされた公募団体のひとつの形

2016/11/22
話を聞いた事務局長の中西祥司
「自由な表現の追求」「公平で透明な運営」を掲げる公募団体は数あれど、ひときわ異彩を放つ汎美術協会。真に自由な表現とは何かを考えさせられる、突き詰められた会の方針を事務局長の中西祥司に聞いた
四つの理念
「会の方針は、とても明快です」と事務局長の中西は言う。汎美術協会の公式サイトやチラシなどにも大きく掲げられる、以下の四つだ。

1.出品作品についての審査、賞の授与をしない
2.作品のジャンルや手法等について可能な限り制限を設けない
3.抽選にもとづいて公平に展示位置を決定する
4.展覧会費用は出品者でまかない、観客からは入場料をとらない

どれも言葉としては平易だが、その意味をよく考えていくと、他の公募団体では実現の難しそうなものばかりだ。詳しく見ていこう。
賞がない公募展
「賞を与えるということは、作品を評価する誰かにその権威があるということですよね。でも、すべての作家(が)は平等なので、権威をもつ人がいるのはおかしいのです。誰も作品の優劣を判断しません。だから、落選もない。
会員の推薦があれば出品できるシステムになっています。入選落選など気にせず、自身のやりたい表現を自由に追求すればいいんです」
汎美術協会には会の名前を冠した大賞はもちろん、文部科学大臣賞、そのほか協賛各所の名前をつけた賞もいっさいない。しかし、なかには受賞をモチベーションに制作に励む応募者もいそうだが……。
「みんな自分の作品が一番いいと思っている(笑)。誰かにおもねる作品を創るのではなく自分の造りたい作品を創る、だから優劣をつける必要はないんです。 汎美術協会に参加する人たちは、この会だから発表出来ること、つまり他の会では受け入れられない作品を展示することを意識しています。質が悪いとか公序良俗に反する作品という意味ではないですよ。受賞、入選を狙って作品をつくる必要はない、ということです。そういう作家が集まっている団体です」
一般の作家の初出品に際しては、審査がある。なぜ汎美展に出品したいのか、作品をみながら運営委員会で推薦の有無を決める。
「汎美術協会の基本的な考え方に賛同し、展覧会活動などを共にやっていく意識があるか、美術館の空間を活用する作品が発表できるかなど、たいへん重要な条件です」
「2016 汎美・秋季展」会場の様子
展示は抽選で
審査なく出品できるうえに、美術館の展示条件内であれば、天地約5m×幅5.5mの範囲で大きさや数の制限もない。
「国公立の美術館でここまで自由に壁面をつかえるのは珍しいと、よく言われます」
展示の方法も独特だ。作品搬入のときにクジを引き、引き当てた番号順に展示する。多くの公募団体は、会場の最初の部屋には会の大先生の作品が鎮座し、奥に行くにつれて、会員、会友とつづき、2段掛けになる展示だ。抽選という完全に公平なシステムで展示順が決められる。結果として、大きな作品の隣に小さい作品、油画、日本画、版画など、入り乱れて並ぶ独特の雰囲気の展示になっている。
「演出効果の高い展示ではないかもしれません。しかし、公平性を優先し、さまざまな表現が一緒に並んでいる展示を観てもらおうと、この方法を続けています」
今年(2016)からは、小品のみを募る「汎美・小品展」を、都内・京橋のギャラリーで始めた。小品という大きな会場の汎美展では出品して無い作品を展示することで、作家の新たな魅力も引き出そうとしている。
新しい世代にこの価値をつなぐ
毎年春に国立新美術館で開かれる「汎美展」も、秋に東京都美術館で開かれる「汎美・秋季展」も、入場は無料。展覧会費用は出品者でまかなうとのことだが、意外にも会員の負担も高くない。会員は年会費3万円、出品料1万5000円、さらに30歳未満は出品料が半額という。
「若い作家の参加を期待しているのは、次の世代が作家活動する場として、こういう場を活かして欲しいからです。『次につなぐ』ことを重視しています。よく似た名前の、中身も同じような、どこにでもある会だったら、別につながなくてもかまわないのですが(笑)、きょう説明したような理念のもとに運営されている公募団体が存在する意義は大きい。このような団体が発表の場を国公立の美術館に持ち続けること。その価値を伝えていきたいのです」
非常に先鋭的な理念であり運営方針だが、実はこれらはすべて、昭和8年の会の設立時から貫かれているものなのだという。平等で自由な制作の場を確保するための場をつくった先人たちの思いを濁さず遵守する汎美術協会は、ある種の公募団体の性格に嫌気がさしている作家たちにとって、新鮮で魅力的な受け皿になりそうだ。
国立新美術館で開かれる「汎美展」の会場入口
国立新美術館でのギャラリー・トーク
(取材・構成=竹見洋一郎)
公募情報
2017汎美展
2017年3月8日(水)〜20日(月)
国立新美術館 展示室1A
種類・点 絵画、版画、写真、彫刻、オブジェ、インスタレーション等
1人1点、未発表の作品に限る(同会支部展出品作は可)
平面作品は合計で幅5.5m×高さ4.8m
立体作品は床面3.5m×2m以内
点数制限なし
出品料 1人 15,000 円(一般出品者)
30 歳未満は半額
応募方法 会員または事務局の推薦が必要ですが、出品作に対する審査はありません。
当会の考え方や活動等に賛同し、出品を希望する方は、下記事務局に画歴と作品のコピーをお送りください。運営委員会にて検討させていただき、結果をお知らせします。(なお、応募書類は返却しません。予めご承知おきください。)

2017汎美展ポスター

ART公募内公募情報 http://www.artkoubo.jp/hanbi/d_koubo.php
団体問合せ
汎美術協会事務局
東京都大田区1-44-11-701 中西祥司方
03-3773-1328
jimukyoku@hanbi.jp
http://www.hanbi.jp


当サイトに掲載されている個々の情報(文字、写真、イラスト等)は編集著作権物として著作権の対象となっています。無断で複製・転載することは、法律で禁止されております。
ページトップへ
アート公募姉妹サイト<PR>