昨年70回展の節目を迎えた女流画家協会は、公募団体全体で出品者が減少している時代にあって、毎年着実に出品者数を伸ばしている団体。委員の二人の話から、その理由を探ります。
佐々木
:
昨年度は初出品者が52名と快挙で、全体で16名増加。作品を制作しなくなった作家もいますが、初出品の作家が増えて新陳代謝がうまくいっているように感じます。子育てがおわって、一息ついて絵を描く人が多いですね。
中 村
:
第80回に向けて、新陳代謝が活発になるでしょう。歴史は大変大切です。しかし古い体制に固執せず、積極的かつ柔軟に合理的な仕組みを取り入れていきます。
例えば、委員の年齢構成はこの数年でかなり若返りました。24歳の新委員は公募団体全体でも珍しいと思います。
女流画家協会は他の団体との掛け持ちをしている女性が多くいます。他団体の委員をしている作家もいます。ほかの団体ではキャリアが若いと様子見というか、推挙を遠慮するところがあります。
佐々木
:
ですが女流画家協会は、新しい女流画家を育成することを理念として掲げていますので、いい作品であればキャリアや年齢に関係なく推挙します。現在は、一般で2回、会員で2回賞を取れば委員になれます。
中 村
:
早くに作品を認めてもらい推挙されることで、描き手としても励みになります。いいときに伸ばして、落ちついて絵を描いてもらいたいですね。
佐々木
:
出品資格は15歳以上の女性。出品規定は20号以上のサイズで、小さいサイズの出品も年々増えています。
私が勤めている大学の学生でも、制作サイズが小さくなる傾向が見られます。制作期間が短くてすむこと、作業環境や保管のスペースを確保しやすい面でも、小さい作品がこれから増えていくのではないでしょうか。
中 村
:
大作でないと受賞出来ないことはない。大きい作品も小さい作品も区別なく審査しています。小さい作品でも充分賞は取れます。
また、油絵・日本画など本格的な絵でなくても、版画・イラストなどもお待ちしています!
佐々木
:
女流画家協会はリベラルで民主的、そして華やかな会です。
リベラルということでは、作品は平面だけでなく、レリーフ、半立体もあります。90代の委員も、半立体で先鋭的、且つ前衛的な作品を出品しています。
また、会全体が自由な雰囲気で、女性同士でのびのびと活動しています。
中 村
:
若手委員も発言しやすい環境です。また首都圏が多かった出品者も、秋田県や北海道にも委員が居り出品する方が遠方からも増加しています。
佐々木
:
年齢層は幅広いですが、どの作家も感性が若々しく、五感に訴えかけてくるような作品を制作しています。会のカラーもなく、ジャンルや作風の異なる作品・作家が集まり、会の様子はとても華やかです。
中 村
:
それぞれの生活のなかに根ざした絵画を発表する場として、第80回に向けて進んでいきたいと思っています。