三軌会
三軌会の新たなる試み「ブリリアント展」とは

2019/5/14
話を聞いた3氏。(左)三軌会事務局長 小澤茂・(中)代表 平和夫・(右)絵画部部長 山崎巨延
今年3月、上野・東京都美術館において新しい展覧会「ブリリアント展」をスタートさせた三軌会。5月には恒例の国立新美術館で「70回記念三軌展」を迎えるが、ブリリアント展は本展とはどう違うのか。設立の目的や方針について、三軌会代表・平和夫、絵画部部長・山崎巨延、事務局長・小澤茂の3氏に話をうかがった。
作家同士の切磋琢磨を促す、実験的な試みの場
――「三軌会ブリリアント展」は、どのような目的で設立されたのですか?
小澤:
若い作家たちが実力をつける機会を創出したいというのが一番の目的です。美術公募団体は作品を競う切磋琢磨の場ですが、出展にまつわるマネージメントに関しては協同できるという利点があります。競争と協同、その両方をうまく活かし、同人が成長していく場になればと考え「ブリリアント展」を設立しました。
山崎:
会員同士でしのぎを削って刺激を受け合い、互いに力を磨いていかなければ、公募団体の存在意義がなくなってしまいますからね。そういう環境づくりをすることによって会全体がレベルアップして活性化すれば、対外的にもアピールできると思うので、創作する仲間が増えてくれたらという期待もあります。
第1回「三軌ブリリアント展」会場入口 東京都美術館(東京・上野)
――本展「三軌展」との違いはどんなところにあるのでしょうか?
山崎:
ブリリアント展はいろいろな可能性に挑戦できる展覧会にしていきたいと考えています。「絵画による平面の多様性の実験」というテーマに象徴されるように、実験的な制作にも積極的に取り組んで、そこで得たことを活かして自身の創作の可能性を広げていってほしい。作家の中には日頃からいろいろな作風にチャレンジしている人もいると思いますが、ただ制作するだけではなく、多くの人に観てもらうことが作家としての成長にはとても大事なので、ブリリアント展がそういう場になればと思っています。
小澤:
たとえば、私は本展では毎年抽象画を描いていますが、今回のブリリアント展では具象作品を出展しているんです。本展だと作風を突然変えたりすることは難しいんですが、ブリリアント展はもう少し肩の力を抜いて取り組めるので、そういう試みもできるんですよ。毎年本展に来てくださっている方は、まさか私が具象画を描くとは思っていなかったようで、「全然わからなかった」と言われましたが(笑)、そういう反応も含めて面白かったですね。代表の作品もかなり実験的でしたね。支持体が布のように見えて、お客さんもいろいろ議論していましたよ。
平:
紙なんですが、質感に工夫したんですよ。あえて波打つようなうねりを持たせることで柔らかさが生まれ、布のような表情になる。そういう視覚的な効果を狙って実験してみました。
――貴会には絵画・彫刻・工芸・写真の4部門ありますが、今回は絵画部限定の展示でした。来年以降もその方針で展開していくのでしょうか?
平:
まだ初回ですからそのあたりは流動的で、今後、回を重ねて様子を見ながら決めていきます。他の部門の作家たちも今回の展示を見て参加したいと思ってくれれば、来年以降、一緒に出展する可能性はもちろんありますし、絵画部だけで続けるにしても、今回のように同人限定ではなく一般公募にするかもしれません。また、今回は関東圏の作家のみでしたが、関西圏も巻き込んでいけたら展覧会としてより面白いものになるのではないかと思うので、そのあたりも含めて模索したいと思っています。
第1回「三軌ブリリアント展」会場風景 東京都美術館(東京・上野)
美術団体として、社会にどう関わり貢献するか
――いくつか賞を設置されていますが、大賞は設けていませんね。何か理由があるのでしょうか?
山崎:
自分の作品が客観的にどういう評価をされるのか、作家としてはやはり何かしらの基準が欲しいと思うので、賞を設定することは決めていましたが、賞をどうするかは最後まで悩みました。将来的には設けるかもしれませんし、そのあたりもこれからですね。今回ブリリアント賞に選出された8作品は、大阪の某商業施設のエントランスに1年間展示されることが決まっています。
ブリリアント賞《真夏》池田紀枝
ブリリアント賞《ネリヤカネヤ》近藤麗子
ブリリアント賞《貌》森田綾子
ブリリアント賞《人・一覧》松本考
ブリリアント賞《Que hora es?》丸太記久子
ブリリアント賞《A DAY 19-05 / A DAY 19-06》山崎千鶴
ブリリアント賞《強風にさわぐ海》玉井輝雄
――今回は特別企画として、千葉県の小学生が描いた「千葉にオリンピック・パラリンピックがやってくる! 絵画コンクール」の作品展示もありましたが、どのような経緯・意図で併設展示に至ったのですか?
小澤:
縁あって、「千葉にオリンピック・パラリンピックがやってくる! 絵画コンクール」の審査員を三軌会でお手伝いさせていただいたんですが、素晴らしい作品が多かったので、せっかくなら広くお披露目したいと思い、受賞作品を展示するスペースを設けました。子供の絵には、形や線がいいとか悪いとか、そういうレベルを超えた魅力がありますね。見に来てくださったお客さんもそういう意味では楽しんでくれたと思いますし、作品が展示されたお子さんやそのご家族など、普段は美術館に来ないような方が足を運んでくれるきっかけにもなったと思います。
平:
美術公募団体は作品を発表するのが主たる活動ですが、三軌会としては社会に貢献することも大切に考えているんです。オリンピック関連のイベントは来年で終わりますが、今後も社会とどう関わるか、都民や市民、お年寄りや子供たちに何か還元できることはないか、いろいろ考えていきます。

千葉にオリンピック・パラリンピックがやってくる! 絵画コンクール」作品展示の様子
――最後に、東京都美術館でブリリアント展を開いた感想はいかがでしたか?
山崎:
平成17年までは本展をずっと東京都美術館で開催していたので、12年ぶりに古巣に戻ってきたような懐かしさを感じました。東京都美術館には三軌会を育ててもらったという思いもあるので、このつながりを大事にしたいですね。国立新美術館と東京都美術館、特徴も客層も異なる2つの展示場所を持てることは、作家にとって非常にありがたいこと。ブリリアント展が出品者、観者の双方にとって魅力あるものになるよう、じっくり話し合い会の将来につながる方向性を打ち出していきます。
(取材・構成=杉瀬由希)
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公募情報
三軌会
71回公募 三軌展
2019年5月15日(水)〜27日(月)
国立新美術館(東京都港区六本木)
搬入日時 5月2日(木)、5月3日(金)
10:00〜16:00 国立新美術館三軌展受付
※絵画・彫刻・工芸(写真は2018年11月に締切りました)
絵画・彫刻・工芸は一人3点まで10,000円。
いずれも1点増すごとに1,000円加算。但し、25歳以下は無料。
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