artkoubo MAGAZINE
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旺玄会
「作家の思い、作家の感ずる美を表現する」をモットーに
─ 第86回旺玄展を前に、旺玄会 松田敬三会長・片山事務局長インタビュー

2020/02/27
洋画家・牧野虎雄(まきのとらお、1890~1946)が、盟友、門下生らとともに昭和7年(1932)結成。以来「画の探求、我の調和」を旗印に、創設88年の歴史を刻んできた旺玄会(おうげんかい)。「生涯在籍の美術大学」を指向し、若い作家から年長者までが自由な発想のもとに切磋琢磨を重ねている。
近年は、若手作家の育成支援への積極的な施策や、大型作品のみならず、テーマを設けて小型作品の魅力に触れる選抜小品展など、新たな企画が意欲的に打ち出され注目を集めている。
松田敬三会長・片山事務局長のお二人に、近年のトピックや、今春開催される第86回旺玄展についてなど、会の最新情報をうかがった。
左から、松田敬三会長、片山聖三事務局長
式年遷宮記念美術館の特別展に旺玄会作家3名選出
— ホームページで拝見しましたが、伊勢の式年遷宮記念神宮美術館で2月21日(金)〜3月24日(火)に開催の「望(のぞみ) ― 歌会始御題に寄せて」展に、旺玄会から3名もの作家の作品が展示されているそうで、これは実に凄いことですね。
松田: これには私たちも驚いています。この展覧会には例年40点ほどの美術品が展示されますが、日本画が4割位を占め、他に彫刻や工芸品もあって、洋画は6~7点と聞いていましたので。
— それだけ、旺玄会の作品水準が高いことの実証になるのではないでしょうか。
松田: 確かに、ここ数年の旺玄展は、若い作家の新規参入やベテラン作家の奮起もあって、回を追うごとに作品水準の向上が評価されてきておりますので、選ばれても不思議はないと思います。それにしても3人とは驚きました。
片山: これは私の勝手な推測ですが、もしかするとこの展覧会の選考の一部は、インターネットで情報を収集されたのではないでしょうか。その場合、我田引水になりますが、旺玄会の公式ホームページは作家情報も豊富で、有利に作用したのではないかという気がしています。
— それはあり得ますね。応募者の方々からも、旺玄会のホームページは他の絵画団体と比較しても非常に見やすく、応募者にとって知りたい情報が豊富で便利だと聞いています。
「望(のぞみ)―歌会始御題に寄せて」展出品の旺玄会作家
第77回旺玄展 望月一雄(東京・常任委員)《祈り(希望)》
第79回旺玄展 山田正夫(愛知・常任委員)《展望 COTE D’AZUR》
第78回旺玄展 河野宗之蒸(徳島・委員) 《旅情(1)》
  • 特別展「望 ― 歌会始御題によせて」
  • 会期:2020年2月21日(金)~3月24日(火)
  • 休館日:木曜日
  • 入館時間:9時~16時
  • 観覧料:500円
  • 会場:式年遷宮記念神宮美術館(三重県伊勢市神田久志本町1754-1)
  • TEL:0596-22-1700
  • ホームページ:http://museum.isejingu.or.jp/sp/exhibition/bskhsebz.html
デジタル時代に合わせたホームページの充実
— 先ほど片山先生がおっしゃられた通り、旺玄会のホームページはとても充実した内容ですね。毎年の旺玄展の公募や展示の情報だけにとどまらず、各支部や会員の活動に関するニュースの頻繁な更新、そして会の歴史、歴代の所属作家の名前や作品がほぼすべてわかる、膨大なアーカイブ。それらの多彩なコンテンツには目を見張るものがあります。
片山: あらゆるところにおいてデジタル化が進む現在、旺玄会の活動も時代の流れに沿うものでありたいと考えて立ち上げ、少しずつコンテンツを増やしてまいりました。会員でコンピュータやインターネットに詳しい方々の協力も得て、こんにちに至っています。
松田: 実は今春、会員の方にQRコードも作っていただきました。これでより手軽にホームページにアクセスしていただくことができるようになりました。
— 伝統を重んじながらも革新を追求してきた会の特質が、ここにも現れているようですね。
旺玄会ホームページのトップ画面。充実したコンテンツが並ぶ
描いた絵を通じ
鑑賞者と対話ができるような絵を目指して
—ところで、時は令和となり、特に今年はオリンピックイヤーに当たりますが、旺玄会としては今後どのような展覧会を開催して行かれるおつもりですか。
松田: 何も特別なことは考えていません。旺玄会は絵画団体として、基本に忠実な姿勢を今後も継続したいと思っております。
 このところ毎年強調していることですが、旺玄会では「作家の思い、作家の感ずる美を表現すること」を重視しており、日本人はもとより海外の方であっても、ご覧になって「なるほど」と心動かされるような絵を目指すよう、日頃から所属の作家に伝えております。
片山: 日本の美術界は、明治以来、西洋絵画を範として、これに追いつき追い越すことに多くのエネルギーを費やしていたように思います。しかし、平成になって、日本美術を再評価するような展覧会が相次ぎ、このことが、私達に、日本の美術が決して西洋に劣っていないことを気づかせてくれたように思います。
 従って、今さら西洋の模倣だとか、亜流だとか思われる絵を見せるわけにはいきません。私たちは、絵の背後に作者が立っていて、ご覧になるお客様と対話ができる、そんな絵を理想に掲げ、目指してきたいと思っております。
第85回旺玄展 無監査 飯田照美(三重・委員)《称賛》

(左)第85回旺玄展 文部科学大臣賞 長森雅世(千葉・会員)《片隅Tears》

(右)第85回旺玄展 東京都知事賞 堀部莞爾(静岡・会員)《ラトビア 早朝の芸術》

(左)第85回旺玄展 旺玄会賞 鈴木てん子(東京・会員)《暗き渕より》

(右)第85回旺玄展 牧野賞 角田寛弥(神奈川・会員)《あの日の記憶(Ⅰ)》

出品料優遇などを通じ
若手作家の育成・支援を継続
— 出品規定を拝見すると昨年と変わっていないようですが、25歳以下出品料免除、30歳以下半額という優遇制度は、今後も継続されるのですか。
松田: 継続します。今は若い人の雇用環境が悪く、そのために出品できないというのは、大きな社会損失です。現に旺玄会に入選し上位受賞した若い作家からも、この優遇制度は非常に感謝されています。また、旺玄会では、若い人に限定した賞である「田澤八甲賞」も設けていて、若い人を勇気づけています。
片山: その一方で、高齢の作家や、ベテランにも激励の目を向けており、高齢から若い人に至るすべての作品制作を支援する方針で、会是である「画の探求、我の調和」と共に、生涯在籍の「美術大学」を志向しています。
 言うなれば、「人を大切にする旺玄会」です。
— 人を大切にする基本姿勢。これは素晴らしいことですね。今年も多くの作家の方々に、画業の登竜門として、そしてもちろん自己の作品追求の場として、ぜひ積極的に応募にチャレンジしていただきたいですね。

(左)第85回旺玄展 玉之内賞 三輪修(愛知・会員)《追懐~巡礼~》

(右)第85回旺玄展 田澤八甲賞 北村瞬(東京・一般)《未だ》

(左)第85回旺玄展 損保ジャパン賞 濱田充代(和歌山・一般)《磨かれて、旅に出る》

(右)第85回旺玄展 上野の森美術館賞 山崎良太(千葉・会員)《夢の行き先》

(左)第85回旺玄展 85回記念賞 最賀正明(東京・会員)《いにしえ 銀閣寺》

(右)第85回旺玄展 85回記念賞 利根川幸子(神奈川・会員)《月光》

第86回企画展のテーマは「生命の根源、水を描く」
— ところで、ここ数年の旺玄展と言えば、本展と同時に開催される、毎年趣向を凝らした企画展があります。ここからは少しそのことについてもお聞かせ願えたらと思います。
 まず、昨年(令和元年〈2019〉)第85回展の企画展は「旺玄会史を彩った作家たち」ということで、旺玄会の歴史の長さを強く感じさせられるものでしたね。
松田: そうですね。第85回記念旺玄展は記念展ということもあり、旺玄社時代から比較的最近に至る、会史上出色の作家16名の作品を展示し、旺玄会の長い歴史と共に、現役作家に今も受け継がれている伝統の厚みをご覧に入れました。
— そして、今年の第86回展は、どのようなテーマタイトルになりますか。
松田: 「生命の起源、水を描く」というテーマで準備しています。今や旺玄会のお家芸ともなった、小品による企画展に戻ります。
— 企画の内容について、詳しくお聞かせください。
松田: はい。地球の歴史の中で、あらゆる生命体は水の中から生まれたとされます。水は生物体を構成し、人類の飲料であり、食料の中に含まれます。古代ギリシャの自然哲学者ターレスによる、「万物の根源は水である」は、後の錬金術や自然科学の発展につながっていきました。また、水は、山紫水明、花鳥風月と言われるように、美しい景観を形づくり、古来画家や詩人の創作意欲をかき立てる存在でもありますし、その力は、人類にはなくてはならないエネルギー源でもあります。
片山: しかし、その水は、いったん狂うとなると大変な災害をもたらすものであることは、この1年、2回にわたって日本列島を襲った巨大台風によって、いやと言うほど思い知らされました。
 昨年即位なされた天皇陛下は水の研究家で、その造詣の深さから世界的に著名ですが、その陛下が、被災地では被災者の目線で慰問を続けられています。今回の展覧会は、水のあらゆる「態様」を私たちに考えさせてくれる絶好の機会であり、正に令和の時代にふさわしい企画展示といえるのでないかと思っております。
第86回旺玄展企画展出展予定 片山聖三(東京・常任委員)《水瓶と弥生時代の少女》
— 企画展に出品する作品は、どのようにして集めておられるのですか。
松田: このところずっと継続していますが、全国19支部から推薦を求め、その上で、本部推薦を加えて、大体50点弱を展示しています。出身も、常任委員から一般出品者までさまざまです。初入選では無理ですが、皆さんに認めていただければ、一般出品者にもチャンスがあるというのは、新人にとっても大きな魅力だと思います。
 今回特徴的なのは、前回までが10~20号の標準サイズだったのに対し、縦長の変形に限り、上限を162cmまでとしたため、かなり縦に長い作品が展示されることになりました。これは面白いですよ。
片山: その一方で出品者からは「テレビで台風の被害など見ていると、とても筆が進まない」というぼやきが聞こえてきて、事務局は激励に大変でした。
松田: 展示されている48点の作品は、どちらかというと美しさが先行して、脅威の影は見られないかもしれません。しかし、水の美しさを眺めながら水問題に深く思いを馳せていただければ、主催者として、これほど嬉しいことはありません。
— 水という一つのキーワードから展開する、まさに水の景観のように多彩な作品の切り口。こちらも本展と同様、会員の皆さんの想いが詰まった展覧会になりそうですね。拝見するのが今から本当に楽しみです。
 本日は、長時間お話しいただきありがとうございました。
(構成=合田真子)
展覧会情報
 旺玄会
第86回 旺玄展

第86回 旺玄展開催中止のお知らせ

2020年4月9日更新

旺玄会は第86回 旺玄展を、全面中止致します。詳細につきましては、旺玄会公式サイトをご覧ください。 旺玄会公式サイト

  • 会期
  • 2020年5月20日(水)~27日(水)
  • 会場
  • 東京都美術館(東京都台東区上野公園8-36)
  • 巡回展・地方展
  • 大阪展…7月14日(火)~19日(日)、大阪市立美術館地下展覧会室
  • 名古屋展…7月28日(火)~8月2日(日)、 愛知県美術館
  • 秋田展…現地体制整備のため、本年は休催
  • ギャラリートーク
  • 5月23日(土) 13時 ~ 5月24日(日) 10時~
  • 作品講評会
  • 5月23日(土) 10時~ 5月24日(日) 13時~
  • 於:東京都美術館(東京 上野公園)ロビー階第1~第3展示室
作品公募
  • 搬入日時
  • 5月8日(金)、5月9日(土) 両日10時~16時30分
  • 搬入場所
  • 東京都美術館 地下3階 旺玄会受付
  • 出品画
  • 洋画(油彩、パステル、水彩、アクリル、ミクストメディア、鉛筆、色鉛筆、コラージュ等)
  • 日本画(含水墨画)
  • 版画(含デジタル・アート)
  • 他の公募展に未発表の作品とする。一人1部門、平面作品に限る。
  • 出品画には額縁を付ける。額縁幅は7cm以内、作品保護のため、絵面より周囲1cm以上突出していること。
  • 水彩画20号以上、版画30号以上は、マットを含め12cm以内。版画の小作品については制限なし。水彩画、パステルが、ミクストメディアなど画面保護の必要なものは、樹脂ガラス(アクリル)を使用する等自己責任において処理の上出品して下さい。ガラス不可。
  • 大きさ
  • 20号以上100号まで、120号、130号(FPM)は縦可。
  • (ただし、版画で銅版等は4号以上、木版、石版、孔版等は6号以上)
  • 規定外の作品は受け付けない。
  • 点数
  • 5点まで。
  • 出品料
  • 3点まで9000円、以降1点ごとに2000円。
  • 奨励制度
  • 2020年5月9日(土) 時点で25歳以下は出品料無料、30歳以下は半額。
  • 地方出品
  • 出品原票、作品預り証必要書類取り寄せて作品に添付し、下記の内いずれかの旺玄会作品受付に送付し、5月5日(火)までに到着のこと。地元に適当な搬入代行会社がある場合は、その会社をご利用ください。
  • (株)川端商会
  •  東京都葛飾区堀切2-16-2 TEL:03-3691-3200
  • 彩美堂(株)足立営業所
  •  東京都足立区南花畑4-33-7 TEL:03-5242-3701
  • (株)東美本社
  •  東京都渋谷区本町5-30-12 TEL: 03-3376-8148
  • ヤマトグローバルロジスティクスジャパン(株)
  •  東京美術品公募展支店
  •  東京都江東区東雲2-2-3 東雲ビル2階 TEL: 03-3527-6683

第86回旺玄展 ポスター

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