春陽会
理事長と受賞作家に聞く、会の特徴と制作への取り組み

2019/3/1
檜垣友見子「賑やかな街」F120 油彩 第95回春陽展 損保ジャパン日本興亜美術財団賞
97年の歴史の中で数々の優れた画家・版画家を輩出してきた春陽会。会の特徴や作家の制作の視点について、新理事長に就任した藤沼多門氏と、第95回春陽展で損保ジャパン日本興亜美術財団賞を受賞した若手画家・檜垣友見子氏に話を聞いた。
大小を問わない公平な評価と、伝統の「会員一段掛け展示」
話を聞いた春陽会新理事長の藤沼多門氏(右)と会員の檜垣友見子氏(左)
――まず、藤沼理事長が考える春陽会の魅力、特徴を教えてください。
藤沼
他の公募団体と違うところは、当会には研究会があることです。メンバーは本展出品者と入会審査で資格を得た者によって構成され、現在、北海道から九州まで全国に絵画部版画部合わせて21の研究会があります。1~2ヵ月に1度、各自作品を持参して集まり、批評会やクロッキー会、ゲストによる講演会などを行うのですが、これが非常に勉強になるんですよ。研究会あっての春陽会と言っても過言ではありません。
展覧会としての特徴は、会員の一段掛けにとどまらず、会友、一般応募の作品も、展示の基本を一段掛け(一部二段掛けもあります)にしていること。作品が堂々と見え、来館者にとっても見やすく、1点ずつに集中できるこの展示は春陽会の伝統で、私が美大生の頃、初めて春陽展を見た時にはあこがれたものです。作品の大きさは、上限はありますが下限は設定していません。年齢的に大きい作品を描く体力がないという方もいますし、小さい作品でしか伝えられないこともあるので、大きさに関係なく公平に評価します。最近は内容が多様化し、マンガのような作品もちらほら出てくるようになりましたが、絵として魅力があれば認めるのが当会の姿勢です。
――檜垣さんは大学在学中に会員になられたそうですが、春陽会に出品したきっかけは何だったのでしょう。
檜垣
女子美に春陽会前理事長の西野先生がいらっしゃって、春陽会を紹介してくださったんです。先生や先輩たちに背中を押していただき、やってみようかなと思って出品しました。最初は緊張でいっぱいで、提出書類を書くのも怖かったほど。初出品から今年で5年目なんですが、今でも出品する時はこれでいいのかな?とかいろいろ考えてドキドキしています(笑)。
2018年 春陽会受賞作家展の様子(サントミューゼ/長野県上田市)
歴史が刻まれた建物や街に惹かれて
――昨年、檜垣さんは損保ジャパン日本興亜美術財団賞を受賞されていますね。藤沼理事長は檜垣さんの絵についてどのような印象をお持ちですか?
藤沼
初めて檜垣さんの絵を見た時から、面白いなと思っていました。どことなく『週刊新潮』の谷口六郎さんの表紙画のような、温かさのあるいい絵だなと。数年前から趣味でジオラマ制作を始めたこともあり、街を俯瞰した彼女の絵にとても興味を持ちました。特にその中の人物の扱いがいいなと思いますね。こういうテーマの絵を描くようになったきっかけは何だったんですか?
檜垣
小学6年生から油絵を始め、中学1年生から絵画教室に通っていたんですが、そこで初めて写真を見て描いたのが建物だったんです。それを描いている時に楽しいなと思ったんです。また、父がいろいろな場所に連れて行ってくれたので、それも建物や街に興味を持つきっかけになったと思います。江戸東京建物園や、レトロな風情が好きなので神田の街とか、子供の頃によく連れて行ってもらいました。今のような絵を描くようになったのは、短大の卒業制作が最初です。それまでは建物を正面からスケッチしていただけだったので、西野先生に相談したら、「今まで描いたスケッチの絵をつなげて街にしたらどう?」とアドバイスをいただいたんです。
檜垣友見子「新年を迎えた街」F120 油彩 第94回春陽会出品
藤沼
なるほど、それでああいう街並みになったんですね。いつの時代の風景かな?と思わせるような不思議な感じの理由も、今のお話でわかりました。街はどうやって俯瞰しているんですか? それとも何も見ないで描いているの?
檜垣
一応モデルの場所はあるので、ビルの上から見下ろしたり、現場で写真を撮ったりすることもあるんですが、ほとんど想像です。だから実際にはこうじゃないだろうなというところは結構あるんですけど、自分の好きなように描いちゃっています。
――今後はどういう絵を描いていきたいですか?
檜垣
建物の歴史の流れを伝えられたらいいなと思います。また、今までは建物を中心に描いてきたので、今後は街の人々ももうちょっと描けたらいいなとも思っているんです。建物と一緒に、人々の物語も楽しめたらいいなと。あとは、四季折々の表情やお祭りなどの歳時、朝昼晩と時間帯によって変わる街の様子も描いてみたいですね。
藤沼
このテーマはかなりいろいろ追求できそうですね。僕は距離感を変えた絵も見てみたい。今はおそらくビルの十数階くらいの高さから見下ろしている感じだと思いますが、たとえばもっと低い4、5階くらいのところから見るのか、あるいは30階くらいのところから見るのかによって全く違ってきますよね。絵は構図によって平凡になってしまうこともあれば、ハッとするほど魅力的なものになったりもするので、ぜひ距離感を意識して試してもらいたい。楽しみにしています。
<略歴>
藤沼 多門(ふじぬま たもん)
1951年 栃木県出身。武蔵野美術大学油絵専攻卒業。
1975年~春陽展出品、1986年 春陽会会員推挙
1999年 春陽会 中川一政賞
2018年 春陽会理事長就任
主な受賞歴に日本画廊協会賞展、ジャパン大賞展佳作、オギサカ大賞展優秀賞、小磯良平記念大賞展入賞など
檜垣 友見子(ひがき ゆみこ)
1992年 東京都出身
2012年 女子美術大学短期大学部美術コース卒業、
2013年 同専攻科修了、2017年同研究生修了
2014年~春陽展出品、2017年 春陽会会員推挙
第91回展~第94回展 春陽会奨励賞受賞、
第95回春陽展 損保ジャパン日本興亜美術財団賞受賞
(取材・構成 杉瀬由希)
以下 第95回春陽展受賞作品より
冨田泰世「ねこたまこ・ソコノソコノ」 S100 ミクストメディア・テンぺラ・墨絵画部門 春陽会賞
澁谷美求「青の気配Ⅴ」64×50mm 銅版 版画部 春陽会賞
大島 由美子「その先に」187×187 アクリル・合板 絵画部 中川一政賞
務川めぐみ「3000年前+」70×100 木版 版画部 岡鹿之助賞
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公募情報
春陽会
第96回 春陽展
2019年4月17日(水)~4月29日(月)23日(火)休館日
国立新美術館(東京都港区六本木7-22-2)
名古屋5月21日~26日、大阪6月4日~6月9日に巡回
作品公募  
2019年4月4日(木)・5日(金)
絵画=194×162cm(F130号)以内。
版画=200×150cm(額外寸サイズ)以内。
各部門6点以内
1人3点まで1万円 (4点目以降、1点につき2000円)
  • ☆ 初めて春陽展に出品される方に限り、出品料を半額割引。
  • ☆ 出品ご希望の方はA~Cいずれかの方法でエントリーをしてください。
  • (第94回・95回展に出品された方はエントリーの必要はありません。第96回展の出品目録をお送りしますので、住所変更のある方はご連絡ください)
  • A. 春陽会WEBサイトから  shunyo-kai.or.jp/shunyo-ten
  • B. FAXでエントリー 03−6380−9467
  • C. 郵送でエントリー 〒102-0085 千代田区六番町1 番町一番館
  • 春陽会事務所 エントリー係
  • ※エントリーしなくても搬入当日の受付は可能です。搬入受付でその旨お申し出下さい。
第96回 春陽展ポスター
ART公募内公募情報 http://www.artkoubo.jp/shunyokai/d_koubo.php
団体問合せ
春陽会事務所
〒102-0085 千代田区六番町1 番町一番館
03-6380-9145
http://shunyo-kai.or.jp/


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