artkoubo MAGAZINE
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[File75] 朱葉会
第100回記念朱葉会展

2022/3/8
  • 2022年5月に開催
  •  
  • 東京・中野に事務所を構える朱葉会は1918(大正7)年に設立。大正初期に女流画家の勉強と発表の場を設けるための団体をつくろうと、国内初の女性画家団体として発足した。創立メンバーは与謝野晶子、小笠原貞子、津軽照子、尚百子、津田敏子、小寺菊子の6名で、「朱葉会」の命名は与謝野晶子。数多くの女流画家を輩出してきた朱葉会が2022年、100回目の公募展を開催する。公募展を前に、理事を務める4名に話を聞いた。

朱葉会事務所

早川清美先生/小俣裕子先生/村上洋子先生/武沢伸子先生

日本初の女流画家団体として
助け合いの精神が根付く朱葉会
―はじめに、朱葉会について、教えてください。
武沢: 朱葉会は大正7年に日本で初めての女流画家団体としてスタートしました。大正時代、昭和初期に洋画が描ける環境にあった女性たちが始めた会なので、設立当初はとても優雅な会だったようです。
村上: 女流画家どうし、ライバルというより皆で助け合っていました。これは現在まで続いています。当会は会員がとても仲が良く、穏やかな雰囲気です。切磋琢磨しながらも和気藹々としています。
早川: 私は20年ほど前に入会したのですが、初めて参加した懇親会がとても印象的でした。とても華やかな雰囲気で、会の終わりに皆で手をつないで「今日の日はさようなら」を歌うのです。びっくりしましたね。今はもうやっていませんが、手をつないで歌うのは、懇親会の恒例だったそうです。
自由闊達な雰囲気の中で
個性を伸ばす制作を
―普段の活動について教えて下さい。
武沢: 主な活動は年1回の公募展「朱葉会展」(上野東京都美術館で開催)と「秋季選抜展」(銀座アートホールで毎秋開催)、年2回の勉強会です。勉強会はこれから朱葉会展に出品を考えている一般の方も参加可能です。作品を持参していただく形ですが、未完成の作品やアイデア段階のもの、構図だけでも受け付けます。
村上: 勉強会では、個性を活かした自由な表現を指導しています。私自身も、特殊な方法で制作しているのですが、変わったものを受け入れてくれる器の大きさのようなものを感じます。朱葉会の会員はほんとうに個性が豊かで、いろいろな作風の方が集まっています。派閥などもなく、「こうでなければ」といったものがないのです。
小俣: 朱葉会展は毎年開催されていて、会員どうし親交を温める場所でもあります。昨年、今年とコロナ禍の開催で、懇親会が開けないのでその点は残念なのですが、通常は、公募展で皆さんと顔を合わせるのが楽しみです。
若手の活躍を応援
個性を伸ばす制作を25歳以下の応募は無料に
―普段の活動について教えて下さい。
武沢: 今年は展示された作品を収めた画集も作成します。
オールカラーで収録するので初めて出品した方は「自分の作品が画集に収録されてうれしい」と言ってくださいますね。

第95回記念朱葉会展 画集

(格子模様は、毎年イメージカラーを変更している。)

第95回記念朱葉会展 第95回記念朱葉会展では、昔の本展垂れ幕も展示。

東京都美術館旧館(1926年竣工、1977年解体)の、正面入口に掲げられていた。第100回記念朱葉会展でも展示予定。

村上: 自分の作品が東京都美術館に展示されるうれしさというものも大きいですね。年1回の展覧会は会員にとって、作品を展示する場でもあり、締め切りまでに作品を仕上げようという一つの目標にもなります。
早川: 前回、25歳以下の方の出品料を無料としたところ、学生の方の応募もありました。はじめて出品されたある学生さんは、「6号の作品を出品したけれど、来年はもっと大きいものに挑戦したい」とおっしゃっていました。みなさん、刺激を受けるみたいですね。
村上: 皆さんの展示を見ると、「もっとがんばらなければ」と自然と力が湧いてきます。
2022年は第100回の節目の年
「次なる100年につなげたい」
100周年を記念して作成したロゴ
―今年の朱葉会展は第100回の節目を迎えます。どんなことを期待されますか?
村上: 2020年に開催予定だった99回展は新型コロナウィルス感染症のため、1年延期となりました。幸い、昨年に開催することができましたが、一回の延期を経て、改めて「作品は展示されてこそのもの」と思いました。今年もこれから状況がどうなるかわからないものの、「絶対に開催する」と意気込んでいます。
第99回朱葉会展 会場風景
 
 
 
小品展示
小俣: 朱葉会展は設立以来、終戦の昭和20,21年の2回と一昨年のコロナ禍で中止となった時以外、毎年開催されています。東日本大震災でも、余震の中で搬入をして、なんとか開催しました。先輩方が培ってきたものの大きさを考えると何としても開催しなければという気持ちになります。
村上: 本来なら華々しく100回のお祝いをしたいところですが、コロナ禍で懇親会の開催は断念しました。授賞式だけは、密を避けた形で開催します。
武沢: 年一回、朱葉会展でしか会えない会員の方も多いので、会場での偶然の出会いやつながりも大切にしていきたいですね。
早川: 初めての方でも挑戦しやすいようにと、前回から「小品部門」というものを作りました。100回という記念の展覧会に、「小さいものから作っていこう」という方も歓迎です。
村上: 先輩方がつくりあげた会をできる限り長く続けていかなければと思います。100回展は通過点ですね。
早川: 新しい100年を作っていこうと、皆で気持ちを新たにしています。
(取材・構成=村串沙夜子)
第99回朱葉会展 作品
理事長 村山和子「風の音」
副理事長 坂田都「浸透」
理事 岡田眞理子「憩う」
理事 岸 妙子「風化」
理事 鈴木敏子「想望」
理事 武沢伸子「想い」
理事 早川清美「Time axis」
理事 原木光子「ある風景」
理事 村上洋子「疫終」
理事 矢代ちとせ「刻の瞬間」
理事 山口都「閉ざされた礼拝堂」
第99回朱葉会展 受賞作品
文部科学大臣賞 田谷 美佐子「混沌」
東京都知事賞 飯田典子「明日を待つ」
東京都議会議長賞 鈴木陽子「冬田夕照」
朱葉会賞 内田 綾子「そして空へ」
会員賞 谷口 静子「ブドウの樹の下で」
奨励賞 髙野 千尋「幻影」
清水信子賞 原田 允子「蓼科湖畔の秋」
新人賞 とだ あやこ「顕 2020-2」
公募情報
朱葉会
第100回記念朱葉会展 ※終了致しました。
  • 日程
  • 2022年5月29日(日)~6月4日(土)
  • 9時30分~17時30分(入場は17時まで)
  • 最終日の入場は14時まで(閉会は14時30分)
  • 今回の展示では、朱葉会展100年の歴史をパネル展示する特別コーナーが設けられる。藤田嗣治や安井曾太郎の書簡や与謝野晶子の歌集「朱葉集」など、貴重な資料も展示される。
  • 会場
  • 東京都美術館
一般部門搬入
※終了致しました。
  • 搬入日
  • 2022年5月17日(火)・18日(水)
  • 油彩・水彩・版画他/小品部門
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  • 応募資格は「洋画を創作する女性(会員、会友、一般)」
  • 出品手数料は出品作品3点以内で10,000円(小品部門5,000円)(25歳以下は無料)。
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  • 油彩・水彩・版画いずれも上限150号まで(長辺が227.3cm以内)※下限の規定はなし。作品はいずれも自己の創作による未発表の作品に限ります。
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  • 東京都美術館(上野公園内)
  • ・搬入は必ず搬入口(美術館裏口)よりお願いします。美術館正面玄関は使用できません。
  • 作品は原則として額縁に入れて下さい。梱包資材は搬入後忘れずにお持ち帰りください。
  • 遠方出品者は上記期日2日前までに到着するよう、出品証と出品手数料(一般出品者)を添えて下記まで送付してください。
  • 〒124-0006 東京都葛飾区堀切2-16-2
  • 川端商会荷受所(電話03-3691-3200)気付 朱葉会宛
  • ※出品作品に対しては保管に十分注意しますが、不慮の損害や紛失については責任を負いません。

第100回記念朱葉会展チラシ

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